こどもたちのニーズを教師が受け取ることが第一段階
今日はこの論文について。
鶴貴美子(2020) 通常の学級における発達に課題のある児童への合理的配慮提供の推 進 ―ショートタイム研修による教員の指導力向上を通じて―
福岡教育大学大学院教育学研究科教職実践専攻年報 第10巻 pp.163-170
1.目的
・ 児童の実態把握や合意形成,
・ 支援の必要な児童を含む学級全体の児童への学校適応感の向上を図
2.第1研究
⑴目的
学校の実態や職員のニーズを把握して研修を行い、
⑵方法
・校内研修
・職員
・「校内支援体制の充実度点検シート」 を使って ,職員のニーズを把握した。
・ 職員のニーズが高か った項目を中心に研修内容を決定した。
⑶結果と考察
校内研修による実践意欲が高まった。
3.第2研究
⑴目的
支援の必要な児童を検討し,
⑵方法
・4学年X組30名と担任教師
・児童の検証「学校環境適応感尺度」(以下 ASSESS)(栗原・井上2010 )を6月と11月の2度実施
・ 「教師 サポート」「友人サポート」「学習的適応」の 因 子について,分析する。
・担任教師には、「通常学級での特別支援教育のスタンダード」(
・抽出児童を3名決定する
・ 「合理的配慮の決定について」(文部科学省 )に基づいて,①意思の表明,②調整 ,③提供・決定 ,④評価 ,⑤見直しの手順に沿って合理的配慮の提供を行った。
⑶結果と考察
・ 抽出児童 3名において ASSESSの「友人サポート」の数値が大きく上昇し た。
・ 他の児童にも同じ支援を提供したり, ソーシャルスキルトレーニングなどの支援を学級全体で行ったりし たことで,介入群の学級については,協力群の学級と比較し,「 学習的適応」が有意に上昇した。
・ 「生活満足感」「非侵害的関係」「対人的適応」 にも有意な上昇が見られた。
・ 担任の指導力については,「情報量の調整」「内容の構造化」 の項目の数値が上昇した。
・ 合理的配慮提供に加えて, 学級全体への支援を他の児童にも行う授業作りを行うことによって ,学級全体の「学びやすさ」 が向上したのではないかと考えられる。
---------------今日はここまで--- ---------
次回、第3研究と第4研究
感想
①内容について
前回のレポートでは、 ある児童にとって良い方法が必ずしも他の児童にとってよい方法と は限らないということについて書きましたが、 やはり良い方法というのはある程度伝播するものだと感じました。 特定の児童へのかかわり方を知ることで、 支援の様々なパターンを習得し、 応用しようとするということもあると思います。
「合理的配慮の決定について」(文部科学省 )のように、合理的配慮にも型があることを改めて知りました。 1番に来るのはやはり「①意思の表明」で、 こどもたちのニーズを教師がしっかりと受け取ることが第一段階な のだと思いました。そして「 ③提供・決定 」で終わるのではなく、 「④評価 ,⑤見直し」まで実施しているところが良いのだと思います。
②方法について
・はじめに研修を行い、効果的な方法を伝えている。
・ 「学校環境適応感尺度」ASSESS (栗原・井上2010 )
・ 「通常学級での特別支援教育のスタンダード」(東京書籍) の4件法
・ 「合理的配慮の決定について」(文部科学省 )