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悪いのは学習者ではなくカリキュラムだ。

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今日からはこの資料について。

「学びのユニバーサルデザイン(UDL)ガイドライン全文」
Suggested Citation:CAST (2011).Universal Design for Learning Guidelines version
2.0.Wakefield, MA: Author.日本語版翻訳:金子晴恵バーンズ亀山静子
 
 
 
昨日の国語は、昨年の思い出を文にする学習でした。
しかしA君は、ずっと好きな虫の名前を書き続けていました。
 
休校を経て勉強する意味が以前にも増して分からなくなってしまったA君に、思い出を文にするという概念は伝わりません。
もはや、「思い出」の意味すらほとんどわかっていません。
A君にそのことをやらせようとすること自体が間違っているのではないかと思ってしまいます。
 
今日は登校日ではなかったので、他の学年の先生の教室を見に行ってきました。
支援が必要な子への対応がとても上手で、その子たちを否定する言葉を使わずに、うまく子どもを動かしていました。
 
「 通常教育の中で学べるように、障害を克服させようとしていた。」という言葉が資料の中にありますが、「それは自分のことではないか。」と思ってしまいました。
 
1人1人を伸ばすための、1人1人に合った方法がもっと他にあるのではないか。考えなおそうと思います。
 
 

序章

・ CASTは約26年前に、障害のある学習者が通常カリキュラムにアクセスするための方法の開発を始めた
 
・ 当初は彼ら一人ひとりを適応させること、あるいは“治す”ことの手助けに目を向けていた。
 
・ つまり、通常教育の中で学べるように、障害を克服させようとしていた。
 
・1980年代の終わりには、カリキュラムとその制限の方に視点を移していった。
 
・ ほとんどのカリキュラムは一人ひとりの多様性に対応できるものではなく、
障害があるのは学習者よりもむしろカリキュラムの方であり、学習者ではなくカリキュラムこそ「直す」必要があるのだと考えるようになった。
 
 

はじめに

 
・ 教育の目標は、単に知識や新しい技術の使い方を習得するだけではなく、学びのプロセスそのものを習得することにある。
 
・教育は学びの入門者を学びのエキスパート(expert learner )にする手助けをしなければならない。
 
・ 学びのエキスパート(expertlearner )とは、学びたいという気持ちを持ち、方略的に学ぶ方法がわかり、自分に合った柔軟なやり方で生涯にわたる学習に十分備えられている者をさす。
 
・UDLは、最初から全ての学習者のニーズに合った教育をどのようにつくっていくかを理解するための枠組みを提供する。
 
 

UDLの概念

・UDLは、「全員一律で対応させようとさせる(one-size-fits-all)」ようなカリキュラムに対処するための枠組み。
 
 特別な能力や才能を持った学習者や障害のある学習者など、いわゆる「“ふつう”の枠に収まらない」学習者はとりわけそうした障壁に阻まれがちである。
 
 
 

3原則

原則Ⅰ  提示のための多様な方法の提供

・ 提示された情報をどのように認識し、理解するかは、学習者によって異なる。
 
・感覚器官に障害のある人、学習障害のある人、言語や文化の異なる人などが学習内容にアプローチするためには、皆それぞれに違った方法が必要になる。
 
・ 全ての学習者に最適な一つの提示方法はない。
 

原則Ⅱ  行動と表出のための多様な方法の提供

・ どのように学習を進めたり知っていることを表現するかは、学習者によって異なる。
 
・ 自分の伝えたいことを言葉で話すのではなく書いて表現する方がうまくできる人もいれば、その逆の人もいるかもしれない。
 
・ 全ての学習者に最適な一つの行動や表出の方法はない。
 

原則Ⅲ  取り組みのための多様な方法の提供

・ どんな方法で学習に取り組んだりやる気を出したりできるかは、学習者によって顕著に異なる。
 
・ たまたま起きたことや目新しいことだと張り切って取り組む学習者もいれば、そういうものには取り組まない学習者もいる。中には、そのような要素を不安がって、むしろいつも決まった事柄に取り組むのを好む学習者もいる。一人で作業するのを好む学習者もいるかもしれないし、仲間と作業するのを好む学習者もいる。
 
・ 全ての学習者にとって全ての状況で最適な一つの取り組みの方法はない。