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UDLガイドラインで子どもの困り感を整理する

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今日はこの論文について。
 
鶴貴美子(2020) 通常の学級における発達に課題のある児童への合理的配慮提供の推進 ―ショートタイム研修による教員の指導力向上を通じて―
福岡教育大学大学院教育学研究科教職実践専攻年報 第10巻 pp.163-170
 

1.目的 2.第1研究 3.第2研究

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4.第3研究

⑴目的

学び のユニバーサルデザイン (以下UDL)の授業づくりに関するショートタイムでの職員研 修を行い ,職員の指導力向上を目指す。
 

⑵方法

・ 全職員を対象としたショートタイム研修を行う。
・ 学級に報告者が介入しながら授業実践を行う
・ 「通常の学級での特別支援教育のスタンダード」(東京書籍 )のアンケートで自己評価をする。
・ UDLの授業時数の割合について,月ごとの変化を図る
 

⑶結果と考察

・ショートタイム研修開始時と実施後では,全ての項目について数値が上昇した。
・特に「時間の構造化」「情報伝達の工夫」「言葉のつまずき」に関する数値に大きな上昇が見られた。
・介入学級の担任によるUDLの授業実践について は, 9月の段階ではUDLの授業実践が87% であっ たが,10 月と11 月は100% 実施された。
 

 

5.第4研究

⑴目的

合理的配慮提供とともにUDLの授業づくりを実践することにより配慮を要する児童を含む介入学級のすべての児童の学びやすさを向上することを目指す。
 

⑵方法

・ 介入学級 学級における抽出児童と全児童を対象とした。
 
・ ASSESSを使い ,支援開始の 月と学級担任 による授業実践後の 月の 2回実施する
 
・ 授業の中で、オンタスク(正の反応)とオフタスク(負の反応)の状況を時間サンプリング法で記録した。
 
・ オフタスクが起きる要因を,報告者と担任とで確認分析し,抽出児への支援方法を報告者が担任にコンサルテーションを行いながら検討した。
 
・検討内容を基に担任が授業計画を立て、報告者が必要な教材を作成した。
 
・担任が合理的配慮提供とUDLの授業を実施した。
 

⑶結果と考察

・ 抽出児童 名ともに,オンタスク行動が続き,オフタスク行動がほとんど見られなかった。
 
・ASSESSの結果 から、「教師サポート」「友人サポート」「向社会的スキル」の数値に上昇が見られ,A児とC児の「学習的適応」の数値に上昇が見られた。
 
・支援実施前と比べて,「学習的適応」の数値が, 3学級中2 学級で有意に上昇した。
 
・ 「生活満足感」「教師サポート」「友人サポート」「向社会スキル」「対人的適応」の5因子については, 学級ともに有意に上昇した。
 
・ このことから困難に特化した支援を,学級全体の児童にもUDLガイドラインチェック項目に対応させて授業を実践することで,学級全体の「学習的適応」「対人的適応」「向社会スキル」にも,よい効果をもたらすことが示唆された。
 
 

6.総合考察

・本研究 では,対象児童への支援を中心とした,学級全体への学びやすさを視野に入れた授業づくりを行うことの有効性が示されたと考えられる。
 
・ 報告者の介入による担任との支援方法の検討は,担任の指導力向上につながったと考えられる。
 
・複数の職員で支援方法 を検討する場の 確保や,特別支援に関する定期的な 校内研修の実施に よって ,合理的配慮提供のプロセスを確立させていくことが必要であると言える。
 
 

感想

①内容について

支援が必要な子は、目につきやすいので手を掛けることはするが、その手立てが果たして適切なのかがわからないことがある。
手探りでやることが多いため、良い方法にたどり着くまでに時間がかかることもある。
UDL ガイドラインのように支援方法が整理されていると、それらの問題が大きく改善されると感じた。
 

②方法について

・時間サンプリング法
 
 
次回はUDLガイドラインについてまとめたい。